久々にキタ。頭に。

俺が働く会社(以下、高倉組)には数カ月前に三人の新入社員が来た。

揃いも揃っておっさん。

まぁ、仕方ないよね。

普通車の免許を取る若者はいても、大型免許を取る若者はなかなかいない。

ましてや今の大型教習は超ロングのフルサイズ。

よっぽどなんかないと取ろうなんて思わないわな。

運転手も高齢化が進んでおります。


という訳で新入社員はおっさん。

俺より一回りは上であろうおっさん。

他社の運転手から冗談で「高倉組さんwwww介護でも始めたの?www」なんて言われちゃうレベル。

社内では「シルバー人材センターになっちゃうよ…」なんて声もあったりなかったり。

いや、良いんですよ、おっさんでも。

”ちゃんとした”人間であれば。

俺が教習所に通っている頃入社したらしく、仕事で彼らと一緒になる前から悪評を聞いていた。

悪評しかなかった。

話を聞いてない。

仕事が出来ない。

使えない。

聞けば聞くほど「なんで採用されたの?」と疑問だけが深まる。

興味はわかない。

「一緒に仕事したくないな…」とばかり思っていた。


4月某日。

遂に三人の内、二人とご対面。

一人は白髪交じりのてっぺんハゲでボサボサ頭、痩せてて猫背で喋らない。

朝の挨拶もしない。

勿論「初めまして。最近入った●●です。お願いします。」的な挨拶なんかある訳ない。

皆が集まってる所から少し離れた場所で背中を丸め、俯いて立っている。

そんなおっさん(以下M)がまず一人。

そしてもう一人(以下K)。

ニコニコというよりはニヤニヤしながら登場した。

彼も勿論、挨拶の類は一切ない。

運転手達の班長である大先輩の隣に普通に腰掛けた。

大先輩が「そういえばKさんの■■って▲▲だったの?」と彼に話し掛ける。

「あー、そうそう。そうだよ。」

おっさんは言った。

おっさんは言ったんだよ、大先輩にタメ口で。

俺は一瞬友達かなんかなのかと思ったんだよ。

普通、入社して間もない人間が先輩とか上司にタメ口きくか?

若い奴ならまだ理解出来るんだ。

社会経験が浅いから~とか、まだこれから~とかなんとか知らねえけど。

50過ぎのおっさんがそれって、今までどうやって生きてきたんだよって純粋に疑問を抱いた。

そしてこの日、MとKは間違えようのない道を間違え、現場に辿り着かず迷子になるという事件を起こした。


Mは先日退職となった。

何度言われても指示された道を走らず、現場で問題を起こして迷惑を掛けまくった結果の事だった。

Mは何を言われても「はい、わかりました。」と言う。

しかし、そう言うだけで全く違った事をする。

そして何故か現場の警備員などに「止まれ」と言われても止まらない。

結果、下に敷いてある鉄板から外れ柔らかい土にタイヤをハメた。


本日、Kが俺に喧嘩を売ってきた。

だけど彼にそのつもりはないんだろう。

聞いていた悪評の中に「あいつは皆に喧嘩を売っている」というのがあった。

無線や電話など、Kに連絡をするとふざけた話し方をするらしい。

俺はされた経験がなかったので、どんな感じなのか想像なんか出来る訳なかった。

一発で思った。

「こいつ、ふざけてんのか?」

何回聞き返しても聞き取れないし、喋り方も変わらない。

現場は細めの十字路を曲がった先だった。

「現場出ました?」

「あ、場所わかったー?」

「今行こうとしたらKさんの車が入ってるの見えたんでバックして停まってます。出ました?」

一般車両が結構通るし、あんまり長時間ここには停めておけない。

現場に行くにしても行かないにしても、出来るだけ早くここから動かないとマズイ。

「でtcfvghjbんkml;、:。」

「ちょっと聞き取れないんですけど、現場出たんですか?」

「でl@:pkぉhじゅgydr」

「出てるか出てないかだけ言ってください」

「でftrvygぶんじmこ、lp」

「…こうやって皆に喧嘩売ってるんですね」

応答はなかった。

多分、最後に俺が言った言葉は通じてないと思う。

本人に自覚があるか不明だし、俺も慌ててたのにムカついて思わず出た言葉だったから。

それよりもだ、なんで肝心なところだけそうなるんだよ。

ワザとやってる以外、有り得ないと思うんだけど。


もう一人のおっさん(以下H)は接触する機会が何故かあまりなく、車ですれ違ったのが初見。

石原裕●郎みたいなサングラスしてる人だった。

そしてHももれなく挨拶なしのタメ口系だった。

Hとは特筆するような出来事はないけど、この前仕事が終わってから皆で話してる時にどさくさに紛れてタメ口で馴れ馴れしく話し掛けてきたからシカトした程度。

だって俺そいつの事知らねえし。

皆が”Hさん”って言ってるから仕事の時は支障をきたすとマズイのでとりあえず”Hさん”ってやり取りしてるけど、正直あんた誰?って話。


この仕事を始めて大型に乗るまでは、こういう感じの人とは出来るだけ接しないようにしていた。

それでなんとかなってた。

でも大型になってからは、車が大きいから連絡をこまめに取らないと近所迷惑になってしまうし、最悪それで現場が止まるなんて事も起こる。

接しなきゃいけないのであれば臭いものにフタをしてる場合じゃない訳で非常にめんどくさい。

だって話聞かない奴、言葉が通じない奴に物を言うって物凄く不毛じゃない。

余計なエネルギーを使って、それで少しでも変われば良いけど何も変わらず無駄になって終わるだけ。

だからMは退職になった訳だ。

いや、だからって彼らが退職になるのを待ってたら俺がイカレル。

これ以上イカレたら全く笑えないので全力で勘弁して頂きたい。

四方やまバなし

どう頑張ってもアッパーになれないダウナー月見里の四方山話

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